引っぱりあげる

キャンバス、油絵の具/60×90cm 2007

こどものころに、陶芸をやっている祖父が、湯のみに好きな絵柄をいれてくれると言ってくれた。
こどもの僕はもちろんドラえもんの絵柄を描いて渡した。
それを見ながら祖父は手書きで湯のみに絵付けしていく。
僕の手と祖父の手を渡っていったドラえもんは、形はがたがたに崩れている。
しかし、それこそドラえもんらしいと思った。ドラえもんは人のこころの中に存在していて、そして、その姿は微妙に形を変えながら無数に存在している。

こころの中を湖に例えると、湖面にはこういったものがぷかぷか浮いていて、引っぱりあげると数珠つなぎに連なって引き上げられるような気がする。

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